中小企業では、業務が特定の担当者に依存してしまいがちです。「あの人に聞けばわかる」「口頭で済む」と思っているうちに、会社全体が属人化してしまいます。
しかし、この属人化こそが、社員の離職や外部パートナーとのやり取りのトラブルにつながる大きな原因になっていることをご存じでしょうか?
私自身もフリーランスになる前に勤めていた企業で、まさに属人化の状況を経験しました。この記事では、その体験も交えつつ、中小企業が抱えやすいマニュアル不足の問題と、外部パートナーとの認識ズレを防ぐための資料化・マニュアル作成のポイントを解説します。
1.外部パートナーとの認識ズレが起こる理由
中小企業では、社内の「当たり前」が外部の人には通じないことがよくあります。
例えば着物業界では「季節ごとの柄・色・着方」など、業界特有のルールがあります。社内では常識でも、外部のデザイナーには初めて聞く内容です。
このような前提の違いを整理せずに、チャットや口頭で指示を出すと、認識のズレが生まれやすく、双方にストレスが溜まります。
2.マニュアルがないことで起きる問題
属人化が進むと、以下のような問題が起こります。
- 担当者が休むと業務が止まる
- 「言った・言わない」のトラブルが発生
- 新人教育が進まず、業務効率が落ちる
- 社員がストレスを感じ、離職につながる
私自身、フリーランスになる前に勤めていた企業でも同じ状況でした。私しかやっていない業務があり、辞めたいと思ったとき「自分が辞めたらみんなが困る」とプレッシャーを感じました。実際には組織は誰かがなんとかするのですが、マニュアルがないことで負担は大きく、精神的にも辛いものでした。
そこで私は、辞める前に自分の業務をマニュアルとして整理しました。後任が入っても困らないように、手順やポイントをまとめておくことで、属人化によるストレスを軽減できるのです。
また、私の友人(管理職経験者)によると、退職の原因の多くは「マニュアル不足」に起因するそうです。属人化した業務は、教える側も教わる側も負担が大きくなるのです。
3.マニュアル・資料化で改善できること
では、どうすれば認識ズレや属人化の問題を解消できるのでしょうか?
- 前提ルールの一覧化
- 業界特有のルールや社内常識を整理し、外部でも理解できる形にまとめます。
- 例:着物の季節・柄・色のルール、営業資料のフォーマット、社内用語の定義 - 修正指示のリスト化・資料化
- 口頭やチャットだけで済ませず、整理された資料で指示を出すことで、認識のズレを防止します。 - 更新しやすい仕組みを作る
- 一度作れば更新だけで済み、業務効率化につながります。
この3つを実践することで、外部パートナーとのやり取りがスムーズになり、新人教育も効率的に行えます。さらに、社員がストレスなく働ける環境を整えることができます。
4.マニュアル化・資料化がもたらすメリット
- 属人化を防ぎ、担当者不在でも業務が滞らない
- 言った言わないのトラブルが減る
- 教える側・教わる側双方の負担が軽減される
- 社員のストレスが減り、離職防止につながる
面倒に思えるマニュアル作成ですが、一度作れば更新だけで済むため、長期的には会社全体の生産性と信頼性を高める投資になります。
まとめ:中小企業に必要なマニュアル化の考え方
中小企業では、属人化や口頭指示が当たり前になりやすいですが、それは長期的に業務効率や社員定着に悪影響を及ぼします。
マニュアルや資料化は手間がかかりますが、未来の自分やチームを助ける投資です。
外部パートナーとのスムーズなやり取り、新人教育の効率化、社員のストレス軽減――これらすべてにつながります。
もし、自社の資料整理やマニュアル作成、資料デザインの改善にお困りでしたら、外部の専門家に相談することも検討してみてください。
効率的でストレスの少ない環境を整えることは、社員も会社も守ることにつながります。
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